講師:齊藤 登 氏
今回のテーマは、「ふくしまの農業を語る」というもので、北海道札幌市で実施しました。
県職員退職後に就農。福島第一原発事故、台風19号、新型コロナウイルスと、3つの試練を乗り越え、農業を営んでいる。
福島第一原子力発電所の事故の際は、汚染された農地に「ゼオライト」や「塩化カリ」を投入し、セシウムを吸収する「吸収抑制」という取り組みを行い、農作物に影響を及ぼさないようにした。
お米の安全性を示すために、4年前までは全量全袋検査を実施。年間1,000万袋を検査し、100ベクレルの基準を超えたものは1つもなかったことから全量全袋検査は終了。
しかし、基準値以下の放射線量で安全を訴求できるものの、福島県産のお米は売れなかった。福島県産は取り扱わないということが相次ぎ、「流通の固定化」が行われ、市場価格がどんどん落ちる状況となった。福島県の農作物については、震災前の状況に戻すことは難しいため、新しい魅力を作って魅力を上書きすることが重要であると考えている。
当初、風評払拭の取り組みとして行っていた、上野での直売会「ふくしまマルシェ」は、新しい魅力の発信という観点になり、毎回700人ほどの方にご来場いただき、その90%程の方々がリピーターで、自分自身が作っている農産物が認められる機会にもなり、これからもより美味しいものを作らないといけないと感じている。とお話しいただきました
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講演会の中では、次のような質問が出ました。
★今回、講演会に参加したメンバーに伝えたいことは?
A. 福島を特別扱いにしないでいただきたい。震災前は他都道府県と「おいしさ」「流通量」を競い合っていた状況であり、切磋琢磨しながら農業を営んでいた。そのため、消費者の皆様には「おいしいもの」「良いと思うもの」を購入して欲しい。